<金口木舌>攻めの取り組み


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 高速道路の延長やバイパス開通は通勤や行楽地への移動をスムーズにする。その一方で旧道沿いの地域では悩みも生まれる。車と共に人の出入りが減り、活性化に影を落とすこともある

 ▼リゾートホテルが立ち並ぶ恩納村でも2011年のバイパス開通後、旧道となった宇加地-名嘉真間は通行量が減り、村商工会の調査では9割以上の店舗で売り上げが落ちた。渋滞緩和の裏で歓迎できない状況もあった
 ▼しかしその翌年、この道路の愛称を「おんなサンセット海道」と名付け、昨年末には海道区間を拡張した。商工会では夕日写真コンテストなど海道をテーマにした各種催しを企画し、誘客につなげている
 ▼開催中の高級海藻グルメフェアもその一つ。海道沿いの27店舗で恩納村が養殖発祥地とされる海ブドウ、モズク、アーサを食材にしたメニューを提供。特産物を使った料理は食の魅力発信だけでなく、料理人のものづくりへの意欲を高める
 ▼名護市でも地産地消に焦点を当てた企画が新年から始まった。羽地米を使い、生産者と飲食店が共同で取り組み、13店舗が伝統の味を伝えるアイデア料理をメニューに加えた
 ▼羽地米の生産量は農家の高齢化などで全盛期の10分の1以下だが、贈答用としての需要は高い。足元を見直す攻めの取り組みは新たな食文化を誕生させ、人とまちの元気をつくる。