<金口木舌>沖縄へのメッセージ


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 おいしいビールを飲みながら、平和と日本の行く末に思いをはせた。なぜ、ビールで平和かというと、東西ドイツ統一時の大統領、ワイツゼッカー氏死去の報に接したからだ

 ▼「沖縄で一番学んだのはビール。健康にはビールという話も」。1999年4月、ワイツゼッカー氏が来沖した際行われた「ビール文化懇談」では冗談交じりに語り、会場を沸かせた
 ▼別のシンポジウムで共に登壇した当時の名桜大学学長、東江康治さんは「温かい感じだった」と印象を語る。「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる」との議会演説は有名だ。命の尊さを知り、人に優しいからこそ自国の戦争犯罪を許せず、歴史の直視を説いたのだろう
 ▼シンポジウムでは沖縄からの平和発信を訴え、「若い人が一国の政治に積極的に関わることが望ましい」と述べた。東江さんによると、沖縄の若者が平和のために力を注ぐ大切さを何度も強調したという
 ▼ワイツゼッカー氏が沖縄に残した言葉をもう一度かみしめたい。戦争体験者が減る中、沖縄戦の教訓を後世に伝えるのは若い世代だからだ。政治にも声を上げていかなければ平和は守れない
▼酔いから目覚めると、イスラム国から悲しいニュースが飛び込んだ。もちろん人質殺害という犯罪は許されない。だが、「報復」が平和を脅かすことは過去に何度も学んでいるはずだ。