<金口木舌>「本土化」にあらがう


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 「花ブロックで魅せるモダニッシュな新邸宅」。本島中部の分譲マンションの広告に新鮮な驚きを覚えた。花ブロックは昔ながらの沖縄の住宅で、ベランダなどに使われている県産品

▼内部が四角やひし型などの形をしたブロックを幾つも積み重ねた幾何学模様が楽しい。家屋の湿気を逃がして風を通す。日差しも遮るから、亜熱帯の沖縄に適している
▼県内で生産の8割を担う山内コンクリートブロック(西原町)に聞くと、最近マンションやホテルなど大型建築物に使いたいとの注文が増えている。花ブロックの意匠は約100種類。デザイン性も重視されている
▼与那原町の高台に立つ聖クララ教会も花ブロックが印象的な建物だ。壁面や回廊と中庭の間仕切りに使われ、建物を彩る。1958年に建てられ築60年近い。11日に教会建築の魅力を伝えようとコンサートが開かれた
▼丘陵地を生かした設計で、回廊の天井の高さが地形によって変わる。屋根に雨水をため、シャワーや洗濯水に使う。歴史的・デザイン的な価値が認められ、日本の近代建築100選に選ばれている
▼東京のようなマンションの建設が県内で相次ぐ中、花ブロックを再評価する動きは心強い。沖縄の自然風土を生かした建築物には、本土化の波にあらがうような個性が宿る。先人の知恵を発見する楽しさがあり、観光資源にもなる。