<金口木舌>沖縄型「難消化米」づくりへ


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 県内各地の道の駅やJAファーマーズマーケットの週末のにぎわいには驚く。100円単位の求めやすい島野菜、ブランド豚や新鮮な魚類の数々を見ると、県産品の多様性もうかがえる

 ▼そんな中、米は県民消費の約95%を県外産に頼っている。県産米は気候などの関係で粒が小さくなりやすい。価格も石垣市の超早場米など一期作目は一定水準が見込めるものの、二期作目は本土の出荷時期と重なり苦戦を強いられている
 ▼そんな現状の打開へ向け「難消化米」に活路を見いだす研究が進んでいる。「難消化」と付くと体に良くない印象だが、その逆。血中脂質を減らし、血糖値の改善に有効な難消化性でんぷんを多く含む特性がある
 ▼しかし生産性などが課題で全国でもほとんど出回っていない。県内での研究はこの米の持つ有為性や希少性に着目し、生産性の高い沖縄型「難消化米」づくりを目指している
 ▼沖縄科学技術大学院大学を中心に、昨年夏には県奨励品種「ゆがふもち」を交配させた新たな「難消化米」の種もみを開発。過日、名護市の県農業研究センター名護支所で実証のための苗を植え付けた
 ▼食事の楽しみを感じながら生活習慣病の予防・改善につながれば、一石二鳥になる。付加価値のある県産米は農家の収入向上にもなろう。植え付けた6千本の小さな苗は大きな可能性を秘めている。