<金口木舌>報道の自由の大切さ


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 英エコノミスト誌がまとめる世界平和度ランキング(2014年)で日本は162カ国中8位、アジアでは堂々の1位だ。紛争がなく治安の良い社会で暮らせることを誇りに思う

▼一方、日本の「報道の自由度」は180カ国中61位となっている。NGO「国境なき記者団」が調査した15年のランキングが2月に発表され、日本は前年の59位から、さらに落ちて過去最低となった
▼ランキングは報道の自由に対する侵害や検閲の度合いなどを評価する。日本は09年17位、10年11位と世界でもトップクラスの国だった。当時、省庁の会見を記者クラブ以外にも開放したのが理由とされる
▼ところが12年は53位へ急降下した。東日本大震災後、原発事故の取材で情報が制限されたのが理由だ。国境なき記者団の報告は「フリーランスの記者は政府、東京電力への記者会見への出入り、情報へのアクセスを禁じられている」と批判する
▼さらに特定秘密保護法の施行が追い打ちをかけた。国の都合だけで情報が隠され、私たちは何が秘密なのかさえ知ることもできない。日本の報道の自由は黄信号といえる水準だ
▼その上、自衛隊の「文官統制」廃止、さらに海外派遣へ道を開こうと政権は前のめりになっている。秘密に包まれ、知らない間に国の行方が誤っていたとしたら。報道の自由の大切さは市民にとっても重要なものだ。