<金口木舌>勝敗超えたスポーツの魅力


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 身長150センチの選手が女子プロ野球の東北レイアに入団した(10日付27面)。宜野座村出身で高校女子野球の名門・神村学園(鹿児島)をこの春卒業した前田桜茄(はるか)さんだ

 ▼めったにいない左投げ右打ちの外野手で、50メートル6秒69の俊足と積極果敢な守備が魅力。「みんなをドキドキさせるような選手になる」。その決意に努力し続ける姿が見え、応援したくなった
 ▼夢をつかむ選手がいる一方で、過度の緊張と失敗から燃え尽き症候群となる選手もいる。スポーツ嫌いになっては元も子もない。生涯を通してスポーツに親しみ、楽しむことを促す環境づくりの必要性を痛感する
 ▼総合型地域スポーツクラブなごうら(名護市)の活動はまさにそれである。「多種目、多世代、多志向」を柱に、子どもたちを多くの競技に触れさせ、適した競技の発見を後押しする。勝敗を超えたスポーツの価値観を育む
 ▼15日の第1回NAGOURAマラソンは「なごうら」と名護市体育協会がスポーツを楽しんでもらうために企画した。最長100キロの参加者の中には自然を満喫できなかった選手もいただろう。だが、ゴール後の涙は達成感そのものだった
 ▼コース案内などで課題もあったが、抱瓶(だちびん)の完走メダルやしまくとぅばでの応援が補った。スポーツを通して地域が結ばれ、人もまちも健康になる。スポーツの力をあらためて実感した。