<金口木舌>政権が放つ怪しい言葉


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「健康にいい」とうたう食品が今夏から店頭に増えそうだ。4月から「機能性表示食品」という新制度が始まる。「目の調子を整える」「血管の働きをサポート」といった表示が国の許可なしで可能になる

▼今までは国の審査を受けた「栄養機能食品」や「トクホ(特定保健用食品)」に限られていた。新制度では企業が科学的根拠を届け出れば商品に表示できる。業界はビジネスチャンスと歓迎するが、消費者団体からは誇張や虚偽表示を危ぶむ声も上がる
▼看板と中身が違うという点では、この国の政権も怪しい。福島第1原発の汚染水を「コントロールされている」と世界に豪語したり、「武器輸出」を「防衛装備移転」とラベルを貼り替えたり
▼最近は安保法制をめぐり「存立危機事態」や「重要影響事態」という不可解な新語が飛び交う。これも「戦争」のきな臭さを薄める魂胆が透けて見える
▼「沖縄に丁寧に説明したい」も、永田町の辞書では「聞く耳を持たずごり押しする」の意味のようだ。「県民の理解を得て」は「選挙結果にかかわらず国の言う通りにしろ」、「粛々と」は「国家権力を総動員して」の表示偽装か。官房長官がよく口にする「法治国家として進める」も「民意放置国家」と解釈できる
▼言葉と行動がこれほど違えば、もはや悪徳業者の部類だ。真偽を見極める目利きで、だまされないようにしたい。