<金口木舌>愛国の名の下に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「日本を愛する」ことを理由に、特定の国への偏見に満ちた発言や排外主義的な主張をする人たちがいる。「愛国」の名の下なら何でも許されるという発想に対し、最近はそうした人々の呼び名として「愛国カルト」なるものがある

 ▼そうした人の発言の矛盾や問題点をまとめたサイトがある。統計に基づいて内容の誤りを指摘し、そもそも偽情報に踊らされているという指摘は「愛国」とは名ばかり、ということがよく分かる
 ▼ちなみに「愛国カルト」の特徴としては「嫌いなものを中傷するためなら根拠がデマでもいい」「想像力の欠如」などが挙げられている。もう一つ不思議なのは、何かというと「普通の国」と言いたがること
 ▼デマを使い特定の人々への偏見や中傷をまきちらすのが「普通の国」なのか。あるいは軍隊を持ったり、核武装しようと呼び掛けたりするのも「普通の国」か。どうも「普通」でないと思うのだが
 ▼そうした視線が沖縄に向けられることも気になる。抑止力や地政学といった使い古された言葉で世界に誇る海を殺そうとし、平和を求める沖縄の民意に対して想像力を全く働かそうとしない
 ▼「愛国」とは、ことさら敵をつくって中傷し、他人に痛みを押し付けることではなかろう。古里の自然を守って次代に継ぐのも「愛国心」だ。「美しい国日本」を愛するのなら、沖縄の海も愛してほしい。