<金口木舌>磨いてほしい「考え学ぶ力」


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 校内に響き渡る歓声が喜びの大きさを表していた。看護師国家試験に新卒生85人全員が合格した北部看護学校(名護市)。祝いの会に駆け付けた晴れやかな表情の学生たちを、教師らはそれ以上の笑顔で出迎えた

▼開校20年で大きな成果を収めた背景には、学生たちの自主的なグループ学習があった。成績上位の学生が教師役を務め、仲間を指導。疑問点を解消するよう徹底的に意見を出し合うことで「考え学ぶ力」を蓄えた
▼教えられているのではなく、自ら学ぶ。その姿勢は社会に出ても力になる。名桜大学(名護市)では自発性を、幅広い知識を身に付ける「リベラルアーツ教育」の柱に据えている
▼1年生が年明けに行う合同学習発表会はその実践の一つ。学生をグループ分けし、代表者が550人を前に発表する。企画、運営など全てを学生が取り仕切ることで、自発性が自然と身に付く
▼ことしは初の卒論公開発表会も開いた。51人が公募に応じ、4年間の集大成を披露した。学生たちは自信を得ただけでなく、他の発表からも刺激を受けた様子だった。互いに切磋琢磨(せっさたくま)して学問に励む。学問の府としての大学のあるべき姿の一端を見る思いがした
▼今週末からは県内の各大学で入学式が開かれる。旅立つ日を、希望を持って迎えるためにも、自ら「考え学ぶ力」を磨いてほしい。成長へとつながるはずだ。