<金口木舌>「ブタとソクラテス」


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 「太ったブタより、痩せたソクラテスになれ」。1日は県内各企業で入社式があり、金秀グループの呉屋守将会長は新入社員にそう訓示した

▼「ブタとソクラテス」はもともと、東京大学の大河内一男総長が1964年の卒業式で用意したあいさつの一節。出典は経済学者のJ・Sミルの言葉で「満足した豚よりは満足しない人間である方がよい。満足した馬鹿よりは満足しないソクラテスである方がよい」とされる
▼ことしも新しい年度が始まった。新生活のスタートに期待と不安でいっぱいの新人も多いだろう。何か新しいことへの挑戦を期する人もいるかもしれない。職場も新たな顔ぶれが加わり、どことなく明るい
▼呉屋会長は「ブタとソクラテス」に、年度初めに当たって「ただ金もうけをするのではなく、企業人として誇れる事業をしていこう」との思いを込めたそうだ
▼金秀グループは経常利益の1%を沖縄の平和を守る活動に寄付する意向を示している。近く創設される、名護市辺野古への新基地建設阻止に向けた基金の原資としても一部が充てられる予定だ
▼呉屋会長は「辺野古の件など今の沖縄を取り巻く状況を見ると、痩せているというより筋肉質のソクラテスにならないといけない。そうでないとウチナーンチュはつぶされてしまう」と強調する。沖縄振興にも当てはまる言葉かもしれない。