<金口木舌>女性議員、数も質も


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 1946年のきょう、戦後初の衆議院選挙が実施された。女性も初めて選挙権を得た。ラジオから「女性も1票もらえる」と聞いて「炭1俵」「芋1俵」と勘違いする人もいたという。市川房枝さんが自著に記している

 ▼大正時代から女性参政権運動に尽力した市川さん自身は、選挙人名簿から漏れていて投票できなかった。混乱がありつつも女性議員39人が産声を上げた
 ▼沖縄ではその7カ月前、日本に先駆けて女性参政権が実現していた。45年9月20日、本島中北部の12収容所で市会議員選挙が行われ、25歳以上の男女に選挙権と被選挙権が認められた
 ▼住民代表でつくる沖縄諮詢会のメンバーが米軍政府に提案し、獲得した権利だ。戦争で男性有権者が激減したことも背景にあったが、沖縄側から求めた点は注目に値する
 ▼日本に女性議員が誕生して69年。いまだ衆議院は9・5%にすぎず世界115位。45位のフランスは3月の県議選で世界初の大胆な制度を導入した。男女比を同じにするため、男女2人一組での立候補が義務化され、ポスターも演説も男女ペアだった。「逆差別だ」と批判もあったが、女性議員は14%から50%に増えた
 ▼悲しいかな、日本では国会のさぼりや遅刻、不適切交際、民意敵視といった男の悪い面を模倣する女性議員も目に付く。数だけでなく質も高めなければ市川さんら先人が泣く。