<金口木舌>変革のタイミングとは


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 「島国の経済レベルは、その国の港湾や空港のレベルを超えることはできない」。県内の経済界の代表らはそう言って、那覇空港や港湾の拡充の必要性を強調してきた。シンガポールの初代首相で先月末に91歳で亡くなったリー・クアンユー氏の言葉だ

▼那覇空港の沖合では現在、第2滑走路の建設が進む。那覇港の物流機能拡充も期待されている。空港、港よ大きくあれ、との思いは強い
▼整備が進む那覇空港だが、第2滑走路が完成しても発着回数は単純に2倍ではなく1・4倍ほどと見積もられている。ターミナルが陸側の片側に偏っているためで、本来の機能を発揮するには2本の滑走路の間が理想。だが今の段取りだとターミナル見直しは滑走路増設を終えてからになりそう
▼一方で那覇空港を拠点(ハブ)として国際物流事業を展開する全日本空輸(ANA)は、ことし10月に新たに中国のアモイとフィリピンのマニラを結ぶ2路線を新設し、海外は9都市に拡大する。空港を利用する観光客も増加の一途だ
▼リー氏は、無資源小国のシンガポールを世界もうらやむ富裕国へと成長させた。規制をなくし法人税率を引き下げ、外国投資も呼び込んだ
▼公共政策について問われたリー氏は「変革のタイミングが来ているのにそれを見逃すこともある」との言葉も残した。そのタイミングはまさに今、と思うのだが。