<金口木舌>政治とメディア


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 テレビ朝日の番組で官邸からの「圧力」を訴えた元経済産業官僚の古賀茂明氏が、17日の自民党によるテレ朝とNHKの聴き取りを「放送法違反」と批判している。自民党は古賀氏の「圧力」発言についてもテレ朝から事情を聴いた

▼安倍政権のメディア介入が目立つ。昨年の衆院選で自民党は、政権批判が多いことも背景にあってか、テレビ局に「選挙報道の公平、中立を求める」文書を送り付けた
▼特定秘密保護法も施行される中「政治とメディア」をめぐり報道の自由への懸念が強まっている。沖縄を取り巻く環境も厳しい
▼15日に肺がんで亡くなった俳優でテレビ司会者の愛川欽也さんも、報道の在り方に苦言を呈していた。テレ朝系CSの冠番組を長くけん引し、番組終了後も自らインターネットテレビを立ち上げて放送を続けた
▼一度、東京で取材させてもらった。テレビで見るのと同じ気さくな態度で、歯に衣着せぬ物言いが印象に残っている。自身の戦争体験から反戦への思いも強く、米軍普天間飛行場の移設問題でも政府批判に容赦なかった
▼海兵隊を「ならず者の軍隊」と呼び、在京大手メディアとは一線を画した視点で論じた。名護市辺野古への移設も「地元が反対しているのに造れないでしょ」と一貫して明快だった。安倍政権のメディア介入にも一家言あったはず。あの語り口調をもう一度聞きたい。