<金口木舌>良い点を取ることではない


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 21日に行われた全国学力テストの小学6年算数に挑戦した。最初の計算問題で、携帯電話を思わず手にしてしまった。電卓機能に頼りっ放しのわが身を恥じた

▼テストとなると、つい「いい点を取らねば」と身構えてしまう。「試験開始直前に覚えた部分は試験に出ない」とのマーフィーの法則も頭に浮かび、焦る。子どもたちも同じだろう
▼本来、学力テストの意図は「いい点」を取ることではない。事前対策なしで試験に臨み、今の実力を測ることにある。目的自体が「個々の児童生徒の指導改善に生かす」という、教える側の参考にするためのものだからだ
▼大阪府教委がテスト結果を内申点の基準作りに使う方針を決め、波紋を広げている。文科省も懸念を示した。府教委は学校ごとの正答率と府平均を比べ、成績のいい学校は中学3年全生徒の内申点平均を府平均より引き上げ、悪ければ引き下げるという
▼府教委のようなやり方は学校を序列化し、過度な競争を招きはしないか。過去にも成績の悪い子を休ませたり、成績が悪い学校の校長名を公表したりするなど過度な対応があった
▼昨年の学力テストで躍進した沖縄県を他県の教委が視察したように、授業や指導法を改善するためにこそ学力テストを活用すべきだ。学校の格付けに使ってはならないし、子どもたちを縛るものであってもならない。