<金口木舌>ぬちゃーしーで救える命


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 ニューヨークにある自由の女神は「ぬちゃーしー」でできている。金を出し合って助け合う、という意味のうちなーぐちだ。像はフランス市民の募金で造り、台座は米国の100万人以上が1ドル未満ずつ寄付した

▼沖縄戦の映像を買い取る1フィート運動もそうだった。多数の県民が100円カンパに協力し、8900万円で11万フィートを購入した
▼IT時代のぬちゃーしーは「クラウドファンディング」と呼ぶらしい。インターネットで事業を提案し、共鳴した人たちが資金を出す仕組みだ。個人の夢や社会貢献を実現させている
▼北部で救急ヘリに取り組むMESHサポートが今、ネットで資金を募っている。ヘリでは活動が50キロ圏に限られるため、県全域を飛べる医療用飛行機を買う計画だ。目標額は3500万円。6月1日の期限までに達成しないと解約されてしまうが、23日現在でまだ16%
▼理事長の小濱正博医師に17年前、別件で取材したことがある。救急ヘリの先進地オーストラリアから帰国したばかりで、「ぜひ沖縄でも」と熱く語っていた。失礼ながら当時は夢物語としか思えなかったが、その後の活躍はご存じの通り。筆者の不明を恥じている
▼2度の休止も乗り越えたMESH。900回出動し多くの命を救ってきた。先島や大東島にも飛べるよう、ぬちゃーしーで新たな翼を羽ばたかせたい。