＜金口木舌＞そんなことできる

　新たな事業に挑む際には何にせよ心配が付きまとう。集団で事に当たるなら一層のこと。「そんなことできるわけないじゃないか」。そんなせりふは挑戦者の意欲をそぐには格好という。地域活性の方法を伝授する講演会での話である

▼言葉とは面白いもので、このせりふの１カ所に「。」を一つ入れると、全く逆の意味になると提唱していた。「そんなことできる。わけないじゃないか」。活性化の要の一つはそんな常識を覆す発想力だろう
▼新規出店を取材した時のことを思い出した。障がい者の自立を支援する「初穂」（仲原エムリ理事長）は４月に沖縄市の胡屋バス停前に軽食店「ファーストカフェ」を開店した
▼一番街商店街の中の野菜工房の生産コストが悩みの種だった。電照で栽培し、生産面積も限定されるため、コストはかさむ。流通に乗せれば中間マージンを取られ、利益はほとんどない。販路拡大にも懸念があった
▼その問題を解消できるのは直売所、カフェと踏んだ。近接するカフェに直送し、輸送コストと中間マージンを廃した。野菜を加工して実際に食べてもらえば、販路拡大の可能性も高まる
▼日中は人出の少ない一番街なら、午前６時３０分開店に活路を見いだした。通勤、通学、散歩の高齢者ら。確実に人出のある時間帯を狙った。「しなやかな発想力」が活力の源にもなると教えられた。