<金口木舌>ワクワク


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 かつて百貨店の屋上には必ず遊園地があった。遊園地のない百貨店は「99貨店」とやゆされるほど。百貨店が輝いていたひと昔前の話

▼もはや一定年齢以上の人にしかピンとこないだろう。小ぶりな観覧車や電動の動物の乗り物が印象に残っている。県内でもデパートリウボウや昨年閉店した沖縄三越の屋上にもあった
▼休みともなればよく親に連れられて行った。洋服などの買い物よりもずっと屋上の遊園地の方が子ども心に楽しみだった。百貨店の屋上にいつもワクワクしていた
▼沖縄でまた新たな「ワクワク」が生まれた。北中城村の米軍泡瀬ゴルフ場跡地に25日、県内最大規模のイオンモール沖縄ライカムが全面開業した。沖縄初進出のテナントなど新たな魅力が客を待ち構える。ゆったりしたモールの雰囲気が従来型と一線を画す
▼24日までの3日間のプレオープンには計21万人が訪れた。1日平均来場者は3万人以上を見込むという。開業当日は周辺道路まで長い渋滞が続いたのを見ると、県民の期待の高さがうかがえる。「県民は列に並ばない」というのはもはや迷信らしい
▼「東南アジアを代表する癒やしの空間ができた」と担当者も胸を張る。中国人観光客の「爆買い」を狙うテナントもあるようだ。県民だけでなく海外観光客にも広がるパイ(消費者)。小売業の新たな可能性にワクワク感が募る。