<金口木舌>かっこいい背中


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 中学生のころから新聞記者になりたかった。そして、なることができた。夢に抱いた姿と同じかどうかは当時の自分に聞いてみたい気もする。ちなみに両親は新聞記者ではない

▼アデコが22日発表した全国小中学生千人対象の調査で、父親や母親と同じ職業に就きたくない、との回答は7割に上った。その理由の1位は「やりたい仕事が決まっている」だ
▼早くから目標を決めるのはいいことで、それが親と同じ職業でないといけないわけではない。ただ2位以下の理由に「忙しそう」「お金が稼げなさそう」と続くのは何とも寂しい
▼就きたい職業の上位は男子がサッカー選手、医者、野球選手、女子はパティシエ(お菓子職人)、先生、医者で専門性の高い職業が上位を占めた。男女ともに10位以内に「会社員」はない
▼専門的な職業に人気が集まるのは、熟練した技術を持つことでリストラの心配がなく、生涯続けることができるとの思いからだろうか。若者を退職や精神疾患に追い込む「ブラック企業」が社会問題化していることも背景にありそうだ
▼故忌野清志郎さんは「パパの歌」で父親の働く姿が「かっこいい」と映る子の思いを歌った。大人としては職業の別に関係なく、子どもたちに仕事をする姿が「かっこいい」「楽しそう」「やりがいがありそう」と映る背中を見せたいものだ。