<金口木舌>善意を笑顔で


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 ピースサインに胸をなで下ろした。渡米し心臓移植手術を受けた北谷町の松島良生君(13)の術後の経過は順調のようだ。4月25日の紙面に載った松島君の笑顔がまぶしい

▼本人や周囲の努力のたまものだが、県内外の多くの善意が支えた。好きなサッカーが外でできるくらい体力回復も進むといい。救われた人の元気な姿を見るのは募金者にもうれしい限りだ
▼先日、神戸市内の児童養護施設で暮らす子どもを沖縄に無料招待する企画を続ける「KOBE三宮・ひと街創り協議会」の久利計一会長に話を聞いた。親から虐待を受けた子がほとんど。大人の目をうかがう癖がついているのか表情が硬いという
▼「子どもは子どもらしくあっていい」と、2009年に企画を始めた。周辺商店街の大人との触れ合いを通し、次第に言葉遣いが砕け、笑顔と子どもらしさを取り戻す
▼「信頼できる大人もいると思うのだろう」と久利さん。周囲に目をかけてくれる人がいると知るのは何より財産になるのではないか。「商人としての恩返しだ」と笑うが、頭が下がる
▼「辺野古基金」の寄付金が4月末で約1億2千万円に達した。寄付件数の約7割が県外からという。「辺野古の海を救いたい」「沖縄の人を支援したい」という善意に応えるためにも事務局は有意義に使ってほしい。そして結果的に募金者に笑顔が広がるように。