<金口木舌>地域のかすがい


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 ことわざの一つに「子はかすがい」とある。子への愛情が夫婦の絆をつなぎ留めていると。ただ、子は親を選べない。父子、母子の家庭で育つ子もいる。それでも親は育てるため必死で働く。そのため子どもだけで食べる「孤食」の子もいよう

▼「こどもの日」の5日。沖縄市に県内初の「ももやまこども食堂」が開所する。孤食の子へ栄養バランスの取れた食事を隔週で提供する。与えるだけの取り組みには「釣った魚を与えるより、釣る方法を教えよ」との苦言もあるという
▼こども食堂は、与えることから始める。目前に孤食の子がいるなら、まず与える。釣る方法は教えられる人がやればいい。「できる人ができることを」。そんな発想という
▼2013年8月に沖縄市がまとめた「こどもの権利」に関する実態調査報告書がある。子どもに関連する団体などへの質問に1437件の回答があった
▼「子どもが生活に困窮していると感じる」事例が189件(13・2%)報告されている。食事が十分取れず、病気でも受診できない…
▼子に肩身の狭い思いをさせまいと頑張る親御さんもいよう。時には力及ばず、悔いる思いもあろう。「子に過ぎたる宝なし」。地域で、子は人生最上の宝、と思う人がたくさんいる。そんな思いを絆として再びしっかり結ぶ、こども食堂の開所である。