<金口木舌>訪米の流儀


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 知事の訪米行動を取材していつも引っ掛かっていたことがある。米ワシントンの要請最終日には現地記者向けの会見が設定されるが、参加者はほとんどが日本人記者。ついぞ米主要メディアの姿を見たことはなかった

▼会見場を設定するのは日本の外務省で、場所はホワイトハウス近くのナショナルプレスビル内に外務省が契約する一室。会見の案内も日本大使館に登録されている日本人記者にメールでお知らせが届く。これでは日本で会見しているのと変わりない
▼だからというつもりはないが、訪米中に米メディアに沖縄県知事の動向が取材され、記事に掲載されることはまずない。そもそもがニュースバリューとして興味を持たれているのか疑わしい
▼極東の小さなジャパンのさらに小さな島からの要請団が、どう米国の利益につながるのか。米国の日本研究者と話していると「沖縄は被害だけしか言わない」との愚痴も漏れる
▼翁長雄志知事が27日から知事として初めて訪米する。「オナガは何を持ってくるのか」。米国では別の“本音”があるのでは、との憶測が依然くすぶっていることだろう
▼待ち構える米国に向けて、知事はどんな初球を投げるか。その方策に米メディアもどんどん使っていい。辺野古基金によるロビー活動も一策かもしれない。ただ一番注目しているのは実のところ、日本政府かもしれない。