<金口木舌>「青」の最後通達


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 先日、「青」の抗議が話題を集めた。2014年末、スペインの主要機関の前でデモをすると罰金が科せられる法律が可決された

 ▼「青」の抗議はその法律に対して4月に行われたデモだ。罰金を逃れる方法として、反対する団体が行ったのはデモの映像を映写機でホログラムのように映し出すバーチャルな抗議行動だった
 ▼国会の前に映し出された映像の人々は半透明の青色だ。17日、沖縄でも政府に「青」が突き付けられた。こちらは映像ではない。県内外から駆け付けた、名護市辺野古への新基地建設に反対する3万5千人(主催者発表)の生身の抗議だ
 ▼数万人規模の県民大会はいろいろな「色」で意思表示されてきた。2010年4月の普天間飛行場国外・県外移設を求める県民大会は「黄色」、12年8月のオスプレイ配備に反対する県民大会は「赤色」だ
 ▼政府に対する警告の「イエロー」が、憤怒の「レッド」に。今回は辺野古の海や大浦湾をイメージした「ブルー」が、登壇者が見えない外野席をも埋め尽くした
 ▼先日、スナギンチャクの新種が見つかったと発表された大浦湾を、研究者は「まだ十分に生物の調査がされていない」重要な地域と評した。「青」は冷静さの象徴とされるが怒りの「赤」を通り越し、突き放したような境地ともいえる。政府は基地建設阻止を掲げる県民の最後通告と受け止めるべきだ。