<金口木舌>学びと平和と生きる力


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 80歳の母親と60歳の娘が机を並べて勉強する。生涯学習の鏡となるような話題(21日付24面)に目が止まった。浦添市てだこ学園大学院の入学式のこと。2年間、行政や歴史、文化などを学ぶ

▼その漢那ユキさん、宮城ヨシ子さん親子の目標は「皆勤賞」だという。年齢を感じさせない熱い気持ちに頭が下がる。同時に、2人のはじけそうな笑顔から、学びは人生の糧となることが実感できる
▼教育の大切さを訴え昨年、史上最年少の17歳でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん。平和学習の特別号として過日発行したりゅうPON!「つなぐバトン」の18面に受賞時の演説が紹介された
▼強いといわれている国々は戦争を起こす上では力強いのに、なぜ平和をもたらす上では弱いのか。戦車を造るのは簡単だが、なぜ学校を建てるのは難しいのか-
▼イスラム過激派の銃弾に撃たれ生死をさまよった少女の言葉があらためて胸に響く。紛争や貧困などを背景に、学校に通えない女の子は世界で6600万人いるとされる。望んだ教育を受けられない状況が今なおあることに思いをはせる
▼6月にかけ、沖縄戦を振り返りながら平和の尊さを考える機会が増える時期だ。戦争で命を落とし、学びの途中で夢が途絶えた多くの先人たち。悲しい歴史を繰り返さないために、教育と平和の意義を見詰め直したい。