<金口木舌>「うちなーぐち」と「ウチナーグチ」


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 「うちなーぐち」と「ウチナーグチ」。どちらがしっくりくるだろうか。平仮名だと柔らかい印象があり、片仮名だと硬い雰囲気になる。「ウートートー」は伸ばし棒「ー」だけにするのか、小さい「ゥ」を入れるのか。「沖縄語」の表記はとかく難しい

▼「エイサー」が「えいさー」だと、勇壮な演舞もどことなく弱々しい。「オトーリ」が「おとーり」ではどうも泡盛を回した気分にもならない。「カチャーシー」が「かちゃーしー」では結婚式が締まった気がしない。平仮名と片仮名、それぞれの持ち味がある
▼実は新聞の表記も固まっていない。「チムグクル」の表記を見て「うちあたい」する。地方面の連載「想い語らな」はうちなーぐちは漢字平仮名交じりだ
▼かつては「沖縄方言」という表記が主流だった。だが最近は「しまくとぅば」「うちなーぐち」などの表記に取って代わられている。沖縄アイデンティティーの再認識や「沖縄の自立」への意識とも無関係ではない
▼翁長雄志知事が17日の県民大会で安倍政権に向けて「うちなーんちゅ、うしぇーてぇーないびらんどー」と結んだ。本紙は平仮名で伝えた。この表現には平仮名の柔らかさが似合っている
▼作家の佐藤優氏も「琉球語の正書法(表記法)を早急に確立する必要がある」と繰り返し指摘している。われわれもそろそろ表記を考えたい。