<金口木舌>国益とかりゆしウエア


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 理屈はこねようによっては主張を通す決め手となる。しかし、道理がなければ壮大な理屈をこねても不興を買うだけだ。かりゆしウエアをめぐる民主党の理屈は後者である

▼6月最初の参院本会議で、かりゆしウエア着用を認めるべきか否か、5月26日の議院運営委員会理事会で協議した。結論は民主党の反対で「認めず」。その時の理屈が国益絡みというから壮大である
▼民主党の主張を本土各紙が報じている。「沖縄の民俗や文化を特殊なものとして強調すれば、沖縄は日本でないという、へ理屈につながりかねず、国益にそぐわない」という。これこそへ理屈。真に受ける県民はいない
▼6月最初の閣議で、閣僚がかりゆしウエアを着る「かりゆし閣議」が始まったのは8年前。クールビズの推進を兼ね、沖縄のアピールに一役買った。議場をかりゆしウエアが覆ったところで、国益を害するとは到底思えない
▼そもそも政府は復帰後、沖縄を日本のらち外に置くような扱いをしてきた。抑止力論をこねくり回し、新基地建設を強行する不条理を沖縄以外では行っていないことを県民は知っている
▼国益を掲げて理屈をこねるより、沖縄の特殊事情を解消する努力が先決だ。かりゆしウエアを着た翁長知事が米国での要請行動で実践している。昨日の「かりゆし閣議」に臨んだ閣僚各位にも、同じ注文を付けておきたい。