<金口木舌>希望の持てる“一票”に


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 7回を数え、マンネリかと思われたAKB48の選抜総選挙だが、まだまだ人気は衰えないようだ。投票券付きCDは170万枚を売り上げ、候補者ならぬメンバーが語るネット上の“政見放送”に注目が集まる

▼それぞれファンによる選対(選挙対策本部)ができ、PR作戦だけでなく、CD購入の資金集めまでするというから、国政選挙さながらだ。投票権利を金で買う仕組みは大きく異なるが、本来の選挙への関心はどうだろうか
▼ことしの統一地方選では知事選や道府県議選、市長選の平均投票率は過去最低を記録。有権者の関心が薄れ、盛り上がりに欠ける結果となった。特に若い世代の投票率の低さが課題だ
▼高校生は選挙に真剣に向き合うだろうか。投票年齢を18歳以上に引き下げる改正法がきょうにも衆院で採決される。今月半ばにも成立する見通しで、来夏の参院選から適用されれば240万人の新たな有権者が加わる
▼AKBの総選挙は、好きなメンバーを上位にして、人気を目に見える成果にすることがファンにはたまらないのだろう。本来の選挙の成果はすぐには見えない。しかし未来につながる大事な行動だ
▼権利の一方で責任も負う。買収など連座制の対象となる選挙違反も成人と同じように処罰の対象となる。240万を将来に希望の持てる“清き一票”に導くことが、これからの大人の役割だ。