<金口木舌>「また」から「なぜ」へ


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 「また沖縄か」とため息をついた県民は多いだろう。全国ニュースに事欠かない沖縄だが那覇空港であわや大惨事につながるトラブルが発生した矢先、日本年金機構から流出した個人情報の多くが沖縄からだと明らかになった

▼機構にはウイルス感染対策の甘さなどが指摘されているが、発生後の対応にも不信感は拭えない。流出は沖縄事務センターなど3施設の保有情報だったと報じたが、機構の発表ではない
▼「人ごとだと思っていた」という浦添市の男性は沖縄が多いとの報道を受け、事務所に駆け込んだ。すでに不審な電話が県民にもかかっている。そういう電話にも正しく対応できるように、機構には事実を詳細に伝えた上で注意を呼び掛ける責任があるのではないか
▼こういう事案のたびに思うのがマニュアル対応や慣れの危うさだ。過去に例のない事態が生じた場合でも利用者の危険性や不安を取り除く対応が優先されるべきだ
▼那覇空港で3日発生したケースは当たり前に行われる作業でミスが重なった。那覇空港で2012年、航空機が滑走路に誤って入ったトラブルも単純なミスが重なったことが原因だと、このほど公表された
▼「またか」には相次ぐ米兵による事件事故も含まれる。当事者は「また沖縄か」で終わらず、「なぜ沖縄なのか」との視点から分析し、対策を講じなければ根本解決にならない。