<金口木舌>ユッカヌヒーは手作りを


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 きょうは旧暦5月4日のユッカヌヒー。戦前は年に一度だけおもちゃを買ってもらえる日だった。県内各地に玩具市が立ち「今の歩行者天国とは較(くら)べものにならない程の子供天国」と、画家の具志堅以徳さんが大正時代を回想している(「琉球の文化」第3号)

▼那覇では旧暦5月1日から5日間、今の那覇商工会議所から西消防署付近まで露店がぎっしりだったという。並ぶのは張り子のチンチン馬ぐゎーなどの郷土玩具。具志堅さんは太刀ぐゎーを買い「その後も数十日といふもの振りまわして遊んだ」と記す
▼誕生日にクリスマスと年に何度もおもちゃを得られる現代は、テレビのキャラクター玩具やゲーム機が主流だ。刺激的だが受け身一方のゲーム機では「遊びの栄養失調になる」と、東京おもちゃ美術館館長の多田千尋さんは警鐘を鳴らす
▼子どもたちは本来、石ころ一つでもおもちゃに変えられる遊びの天才だ。自ら楽しみをつくり出す力を奪われると「ふ抜けになってしまう」
▼沖縄の玩具にも詳しい多田さんは本紙「落ち穂」で、ユッカヌヒーを「今の子どもたちに最も欠けているおもちゃを作る日にしてはどうか」と提唱する
▼祖父母が加わるとなおいい。手作りは考える力も想像力も集中力も対話力も引き出す。身近にある葉っぱや木片が宝に変わるはずだ。おじいちゃん、おばあちゃん、出番ですよ。