<金口木舌>デモ見誤るな


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 東京報道部時代、首相官邸や国会議事堂前でのデモを何度も取材した。常に頭をよぎったのは官邸や議事堂の当事者らに彼らの声がどう聞こえているかということだ

▼デモについて、テロ行為と「あまり変わらない」としたのは当時自民党幹事長だった石破茂氏。官邸前での反原発デモに「大きな音だね」と感想をもらしたのは民主政権下で首相だった野田佳彦氏だ
▼デモを批判するか、矮小(わいしょう)化する発言しか表に出ていないのは情けない。決められた時間と場所に集まるには決断力、行動力が必要だ。デモ参加者だけでなく、思いを共有する人は多いと捉えなければ、為政者として現状を見誤るだろう
▼デモの様子はあらゆるメディアで伝えられる。写真や動画を見れば人の数や熱気は一目瞭然だ。デモの矛先になった政府の反応も含め、多くの国民の目にさらされる。デモの意義は行動がなされたことだけでなく、デモ後の思いの広がりにもある
▼安保関連法案に関しては14日、東京・渋谷で若者を中心にしたデモが行われた。20日は那覇市でも学生の団体がサウンドデモを行った。若い世代が声を上げつつあることを政府はどう受け止めるか
▼選挙権が来年の参院選から18歳以上に下がる。候補者の主張と自分の思いが重なる人を選ぶには材料が必要だ。若者が広く社会や政治について考えるきっかけになればいい。