<金口木舌>「IF THEN」構文


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 小学校の授業でプログラミングを扱う動きが出始めている。文部科学省も推進しており、中学校の学習指導要領にも盛り込まれた。小学校でコンピューターの授業などなかった世代からすると隔世の感がある

▼大学で初めてプログラム言語に触れたが、身に付いていない。それでもかすかに記憶に残る用語に「IF THEN」構文がある。「IF(もし)」の後にくる条件が満たされた場合のみ「THEN(ならば)」以下の命令を実行するプログラムだ。実社会の判断行動にも似て興味深い
▼自民報道圧力問題から8日がたち、安倍晋三首相がようやく県民に「謝罪」した。ただ「沖縄の皆さまの気持ちを傷つけたとすれば申し訳ない」との表現には違和感が残る
▼もし(IF)「傷つけたとすれば」、(THEN)「申し訳ない」。プログラムで見ると「IF THEN」構文は成立しているが、前提となる安倍首相自身の「傷つけた」との認識があるのかないのかは不透明なままだ。これではプログラムは動かない
▼実は「IF THEN」構文には続きがある。(もし)(ならば)の次に(そうでなければ)「ELSE」が続き、「IF」で示した前提条件が満たされない場合の命令が用意される
▼安倍首相の「謝罪」は「THEN」で終わっていた。もし「傷つけた」との認識がない場合、安倍首相は「ELSE」の後に何を用意するのだろう。