<金口木舌>努力の向こうにあるスポーツの魅力


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 サッカー女子W杯の「なでしこ」の活躍は日本中を熱狂させた。頭一つ高い外国選手を相手にキャプテン宮間や川澄、大野、岩渕ら150センチ台の選手が躍動する姿に心躍ったファンも多いだろう

▼男子サッカーでも世界を魅了した小柄な選手は多い。“神様”ペレ(ブラジル)は170センチほど、天才と称されたマラドーナ(アルゼンチン)は165センチ。最近では世界最高の選手と言われるメッシ(同)も160センチ台だ
▼米プロバスケットボールリーグNBAではウォリアーズの小兵ガード、カリーがチームを40季ぶりの優勝に導いた。カリーはシーズン最優秀選手にも選ばれた
▼191センチとプロでは小さいが、高校時代は180センチしかなく、NBAでは通用しないとさえ言われた。だが、チーム練習前に多い時には千本シュートを重ね、巧みなハンドリングから正確な3点シュートを決める今のスタイルを確立した
▼県内で語り継がれているのが1978年山形総体男子バスケットボールの「辺土名旋風」。平均身長170センチ足らずの小兵チームがスピード豊かな試合運びで3位に輝いた。会場は辺土名見たさの観衆で埋まった
▼体の大きさや素質だけでは勝てない。努力の向こうに成果が表れる。勝敗を超えたスポーツの魅力である。近畿での全国高校総体はもうすぐ。スポーツの醍醐(だいご)味(み)を選手と共有したい。暑い夏を楽しもう。