<金口木舌>内閣支持率


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 新国立競技場をめぐる議論が止まらない。本当に間に合うのか。新たな費用はいくらかかるのか。そして、いまだ答えが出ていないが、責任は誰が取るのか

▼膨れ上がった建設費用に国民の批判が高まり、それまで見直しできないと繰り返していた姿勢を一転、安倍晋三首相が計画を白紙に戻した。安全保障関連法案の衆院強行採決後に内閣支持率の急落を受け、さらなる政権批判の拡大を懸念したか
▼複数報道機関の世論調査で支持率は4割を割り、不支持率が支持率を上回った。政権維持が困難とされる危険水域の3割に黄信号が灯り始めたと見る向きも少なくない。野党からはここぞとばかりに「8月解散説だ」の発言も飛び出す
▼政権にとって支持率とはかくも気になる数字らしい。だが決断した競技場計画見直しも、支持率回復にはあまり効果があったようには見えない
▼反対世論が根強い安保法案の参院審議が始まる。国民理解が進まないと憂う安倍首相はテレビ番組に相次ぎ出演し「例え話」で持論を展開した。1時間半にわたり、手作りの模型も使って説明を繰り返したが、その効果もどうだったろう
▼ここで安倍政権に支持率浮上の秘策を提案したい。それは米軍普天間飛行場の県内移設の白紙撤回だ。支持率急落の今こそ見直し時期ではないか。「国際公約」だった新国立競技場でも見直すことができたのだから。