<金口木舌>至福の瞬間何度でも


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 あまりにもよく似た父親の顔立ち。「たいしたもんや」などのコメントに顔をほころばせた読者も多いだろう。芸人、又吉直樹さんの芥川賞受賞は全国的に注目を集めた

▼父親が名護市汀間出身ということもあり、県民にはさらにうれしいニュースになった。受賞作「火花」は169万部発行予定。県内書店も軒並み品薄だ
▼本紙ホームページにも掲載した喜ぶ父親らの記事は数日、一番のアクセス数を記録した。「火花」に沖縄に関する記述はない。個性的な芸人の先輩ら周囲の人々に対する主人公の優しい視点や寛容な態度から、作者に流れる沖縄の血を感じたが、どうだろうか
▼スポーツ、文化問わず県出身の若者の活躍は相変わらず目覚ましい。女子プロゴルフの大東建託いい部屋ネット・レディースで興南高2年の新垣比菜さんが2日、アマチュアでは史上初の3大会連続トップ10入りを果たした
▼優勝を逃し残念だろうが、プロの大会で高校生が安定した力を発揮し続ける技術と精神力は大いにたたえたい。滋賀で行われた全国高文祭では3部門で2校、1個人が最高賞を受賞した
▼夏の甲子園に1日出発した興南ナインには、2010年の旋風再現を期待したい。重いニュースが続く昨今、若い世代の活躍には勇気づけられる。「沖縄の若者は大したもんだ」とつぶやける至福の瞬間は何度経験してもいい。