<金口木舌>対話の姿勢こそ必要


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 「昔はおれもワルだった」と過剰に自慢する人は、心理学的には他者から認められない不満を抱える人が多いそうだが、公人であるこの方々はどうだろうか

▼自民党国会議員のネット上の“悪ガキ自慢”が相次いで問題になった。ある衆院議員は学生時代、「生意気」な若い女性教師をトイレに閉じ込め爆竹を次々に投げ込んだ。涙声になる教師に、「『やった~』と快感だった」と記す
▼別の参院議員は同級生を皆で全裸にして性器にマジックで落書きをした経験を語り、「いじめられる方も弱くなっている側面はないか」と被害者側を責めた。自身の行為ではないと釈明したが、被害者を責める心性自体が問題とは思っていないようだ
▼情報機器の発達により自分の好みに合う情報だけを共有し、同調しない相手を分ける傾向が強まっているという。歴史社会学者の小熊英二氏は最近の政治家について「仲間内で通用する言葉が他集団では怒りを買うことを理解していない」と指摘する
▼安倍政権の言葉がすんなり入ってこない。「粛々と」は強行という意味だし、「地元の協力」は辺野古移設をしないと普天間の運用停止を反故(ほご)にするという脅しだ
▼他集団の言葉を理解し、対話を重ねる姿勢こそ政治家に必要とされる。政権内の「仲間内」の言葉を押し付けているだけで、他者を説得するのは難しい。もちろん沖縄も。