<金口木舌>多くの人を刺激する挑戦の姿


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 音楽やスポーツは聴く者、見る者を元気づける。この夏、三線を弾く少女が人の輪を生んだ。輪の中心にいたのは琉球古典音楽を学ぶ全盲の高校1年生、三刀屋(みとや)美鈴さん(東京)だ

▼彼女の描く地謡(じかた)になる夢や琉球古典芸能コンクール三線野村流新人賞合格が本紙6月9日付と8月18日付に載った。記事がきっかけで、恩納村の祭りやラジオ番組に出演した。関係者が「三刀屋さんの姿に励まされた」ことが出演依頼の理由だった
▼自身は照れくさかったようだが、「勇気をもらった」との声が三刀屋さんの新たな自信になったという。母道子さんも驚く反響の大きさは、目が見えない中で稽古の難しさを乗り越えて成果を挙げる喜びに、多くの人が感銘を受けた表れだろう
▼開催中のワールドカップバレーボールでは、座安琴希(ことき)選手が県民に勇気を与えている。レシーブ専門のリベロ、159センチの小柄な体でボールに食らいつく姿が小気味いい
▼座安選手は中部商高卒業前、本紙投稿欄に競技を続けるか悩んだとした上で「一人でも多くの子どもたちに夢を与えたい」と世界を目指す決意をつづった。目標を形にした今、夢をもらった子どもは多いだろう
▼三刀屋さんは「目の前のことを一つ一つ丁寧に」を心掛け、座安選手は「熱く」を好きな言葉に挙げる。ハンディや不安を乗り越えた挑戦は多くの人を刺激する。