<金口木舌>ウチナームンの新たな販路


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 銀座や日本橋では各都道府県のアンテナショップがお国自慢を競っている。その先駆けとなったわが沖縄の銀座わしたショップは大きなシーサーがお出迎え。北海道と並んで、年100万人以上が訪れるという

▼県産品の周知が進んでゴーヤーやミミガーは訳さなくても通じる。菓子や加工品の種類も増えた。だがラー油やもろみ酢のような大ヒット商品はなかなか生まれない。移り気な消費者を相手にした販路開拓の難しさは生産者共通の悩みだ
▼東京の神田で先日、華やかなパーティーがあった。沖縄食材にイタリアンや和食などの技を駆使した20種の料理が並ぶ。島豆腐のカプレーゼ、モズクのしゃぶしゃぶなど意外性が参加者を驚かせた
▼仕掛け人は「青山ゆんたく女子会」。沖縄出身で首都圏に住む女性たちだ。食べ歩きが大好きで郷土愛にあふれた面々が「沖縄の、体に良くて本当においしい物」を東京で売り出そうとつくった
▼唐辛子の調味料を探して与那国島に自費で赴き、畑や生産工程を確認した。石垣米と呼ばれていた与那国産の米を「与那国米」の名称で都内の販売店で売り出した
▼大消費地東京での小さな小さな挑戦だ。しかし「沖縄には良い物がたくさんある」という自信は多くの人を引き付けた。女性たちの口コミで、お墨付きのウチナームンが浸透する。そんな営業力があってもいい。