<金口木舌>行動する大切さ


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 寝不足で心配していたが杞憂(きゆう)だった。はつらつとした語りは耳と目を引き付けた。何よりも経験に基づく弁論は説得力があった

▼先日、県高校総合文化祭弁論部門大会で、審査をする機会に恵まれた。まだ長いとは言えない高校生の人生だが、弁論にはその人生をぶつけているような重みを感じた
▼共通したのは情報を得るだけではなく、現場に足を運んで、行動することの大切さだ。開邦高校3年の竹尾満里奈さんは、県主催の国際協力人材育成事業に参加し、国際協力の考え方が変わった
▼ラオスで小学生に歯磨きを指導したが、イメージより小規模な活動だった。ただ、歯ブラシ一本に懸ける支援者の熱い思い、磨いた歯を自慢げに見せる子どもの笑顔が心に残った
▼竹尾さんは普段の生活で行われる小さな助け合いも、当事者が望むなら「国際協力だ」と強調した。幼いころから両親と続ける新基地建設反対運動への思いを語り、「現場を見て」と訴えた名護市の男子生徒もいた
▼弁論に反映された経験は、各弁士の今後の人生に役立つだろう。以前と違い、高校生に海外派遣をはじめさまざまな経験の場が開かれていることにも驚いた。機会を生かし積極的に行動することは自分を磨く。複数の弁士が選挙権が18歳に引き下げられることを好機と捉えたことも心強かった。未来の沖縄は君たちが担うのだから。