<金口木舌>やんばる活性化の芽


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 ベルビーチゴルフクラブ(本部町)の玄関口、テーブルに並んだ10メートルほどの卵の列に目が止まった。次々と手にするゴルファー。過日あった北部市町村対抗ゴルフ大会の参加賞だ。地元やんばるの養鶏場の商品で出場150選手に20個ずつ贈られた

▼不思議そうな顔をしていたのだろう。大会実行委員長の當間稔さんが「地域活性化の一つだよ。地元の食を味わってほしい」と話し掛けてくれた。派手な企画ではないが地域への思いを感じた
▼この大会は名護市以外での開催にこだわる。近隣町村への人の移動を目的とし、北部圏域としての活性化を視野に入れる。27年間の継続開催に関係者らの熱意が見える
▼やんばる全体として-。別の場所でも同様の言葉を聞いた。11月にもクロマグロの稚魚養殖事業を始める名護市羽地漁業協同組合。金城富久組合長は「新たな食の拠点が観光の拠点にもなれば、北部全体へのインパクトになる」と事業に夢を描く
▼連携して取り組む豊田通商は、人工ふ化で飼育した成魚が産卵するクロマグロの完全養殖技術を世界で初めて確立した近畿大と提携している。世界レベルの挑戦に直売店構想など行政側も後押しする
▼活性化の一手に関係者は工夫を凝らす。スポーツ交流、水産振興、官民連携、世界的技術導入など、さまざまな芽の交わりが地域を盛り上げる花を咲かせてくれよう。