<金口木舌>障がい者差別解消法


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 昼時で混み合う中華料理店での話。車いすで入店しようとした客に店員が言う。「混んでいるから午後2時以降に来て」。差別ではないかとの苦情に店員が言い返す。「午後2時以降なら入店できるから差別じゃない」

▼県外での話だが、それぞれが考える差別の認識に差がある。店員は混雑を理由に配慮したつもりだろうが、その時間でのサービスを拒否している
▼障がいを理由にした直接差別は減ってはいる。だがいかにも中立的基準、規則、慣行を装う、こうした間接差別が今もある
▼宜野湾市内で開かれた障がい者差別に関する研修会で内閣府障害者政策委員の佐藤聡さんが言った。「差別かどうかを測る共通の物差しがない」。全国で認識に差のある間接差別が報告されているという
▼ハードな行程を理由に修学旅行への辞退を促された身体に障がいのある生徒。「犬の立ち入り禁止」との規則を盾に盲導犬との入店を拒否された全盲者。精神的発作を起こし解雇された人。そんな幾多の悔しさと悲しみを積み重ねて障害者差別解消法が来年4月施行される
▼間接、関連差別が明記されず、あらが目立つ法律との声も施行前からある。それでも障がい者団体にとっては改善への足掛かりになるという。差別を測る物差しづくりは社会全体の共同作業である。目盛りは細かく鮮明に。差別解消への道筋を描きたい。