<金口木舌>ピンクのステッカー


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 先日、北部を運転中、肝を冷やした。前を走るレンタカーが細い脇道に大回りで左折しようとして、脇道に並ぶ車の向かって右側に入っていった。衝突寸前。運転手は日本語が通じないアジアからの観光客だった

▼沖縄自動車道の追い越し車線を延々と走るレンタカーもいる。後続車が列を成しても走行車線に戻らない。白バイが左に寄るよう促す場面も見た。その車はサービスエリアで中国系の家族連れと分かった
▼外国人のレンタカー利用が急増している。県レンタカー協会によると、2014年度の外国人利用は約8万5千件で、前年度の2・3倍。全国一の数で、2位の北海道約2万4千件の3・5倍だ
▼国別では台湾と韓国が各33%、香港が27%と3地域・国で9割を占める。事故も増え、14年度は2901件、事故率は国内利用者の1%に比べ3・4%と高い。右側通行など運転習慣の違いが事故を招く
▼具体的な対策も始まった。業界は「外国の方が運転しています」というピンクのハート型ステッカーを貼って周囲に配慮を促している。本部署は国道に「速度落とせ」という中国語の看板を立てた
▼外国人観光客に沖縄の旅を満喫してもらうためにも、各業者は手続き時に交通ルールを丁寧に説明してほしい。私たち県民もステッカーを見たら気を配りたい。これも大事な“うとぅいむち”(おもてなし)だ。