<金口木舌>ソフトパワーで「地域力」を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「中学生の時に吸い始めたたばこを部活動のために、16歳でやめた」「遊び心に負け高校を中退した」。過日、名護市立屋部中学校であった企業人講話の一場面だ。20~30代の若手経営者らが自らを振り返った

▼衝撃的な言葉だったのだろう。中学生らの表情が一瞬硬くなった。だが生徒らに積極的にマイクを向け、夢や目標を聞き続けると、その真意は確実に生徒らに伝わる
▼失敗で諦めず、責任と自覚を持ち前向きに努力してほしい。難しい言い回しではない分、生徒らの胸にすとんと落ちている様子がうかがえた
▼夢を持ち、自身で考え進んでほしいという願いを実体験から語る大人たち。この講話は名護市商工会青年部の有志らが昨年から取り組み始めた。子どもらと触れ合い激励すると同時に、働く意義を伝え、地域コミュニティーの大切さも感じてほしいという
▼大人と子どもが協力し、地域の輪を広げる試みを別の場所でも見た。10月3日の開催に向け、北部の高校生が準備しているライブイベントだ。今回で4度目で、いずれも地元のライブハウスが会場を提供する
▼実行委員長の名護高校3年橋口陸君は「若者の力で地域を元気にしたい。サポートしてくれる地元の企業にも感謝の気持ちを表現したい」と意気込む。子どもも大人もそれぞれがソフトパワーを発揮する。そんな姿が「地域力」となる。