<金口木舌>ペダルが重くなる


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 自転車で遠乗りを楽しむようになって4年になる。運動というよりも散歩気分でペダルを踏む。サドルにまたがってのぶらぶら歩き。気ままな道楽である

▼道路地図を眺め、実際の路上を想像しながらコースを決めている。「この坂道は景色はいいが、体力を消耗しそうだ」という具合だ。事前の予想と実際に走っての印象のずれも楽しみの一つである
▼目下、うるま市屋慶名から伊計島に至るコースを地図上でたどっている。海中道路の整備、石油備蓄基地建設、学校統廃合という歴史を訪ねる道である。魅力はあるが、急峻(きゅうしゅん)な坂が手ごわい。ここは体力との相談だ
▼ロータリーも興味深い道路だ。建物を眺めながら、ゆっくりとカーブを駆けている。信号のない環状交差点の導入実験を始める糸満ロータリーが気になっている。自転車ではどう走ればよいか調べてみたい
▼再開発で嘉手納ロータリー地区を通るたび、住宅密集地だった時の姿を思い出す。軍用車両の渋滞解消のため、米軍が1945年に嘉手納ロータリーを造った。沖縄戦と米統治の産物である地に沖縄防衛局が那覇から移ったのは2008年のこと
▼姿を変えたロータリーで考える。防衛局移転の名目は「基地の実態を肌で感じる」であったが、効果はあったか。町民生活は基地の桎梏(しっこく)から少しでも逃れることはできたか。問うほどに、ペダルがやけに重くなる。