<金口木舌>歴史認識の溝

 ユネスコが、日本軍による南京大虐殺に関する資料を世界記憶遺産に登録した。夜中にもかかわらず、外務省はすぐさま「遺憾」の談話を出した。戦後70年たっても存在し続ける日中の歴史認識の溝だ

▼これまで日中の研究者で認識を擦り合わせようと共同研究も試みられたが、結局は日中双方の両論を併記する形に終わった。この溝は深く、なかなか埋め難い
▼安倍晋三首相は戦後70年談話で日本の「植民地支配」や「侵略」を一般論にとどめた。それを踏襲するように外務省は「歴史問題」のサイトを改訂し、以前あったこの二つのキーワードを談話発表後しばらくして削除した。この変遷を隣国はどう見るだろうか
▼沖縄の歴史認識をめぐっても溝は深い。かつて政府答弁書は、沖縄がいつから日本の一部になったのかについて、確定的には言えないとした。最近も普天間飛行場の形成で誤解を流布した作家もいた
▼翁長雄志知事は普天間飛行場移設をめぐる菅義偉官房長官との協議で、歴史認識を戦後の土地接収にさかのぼって説いたが、菅氏には響かなかったようだ。政府のかたくなさが際立つ
▼きのう10日で沖縄戦の10・10空襲から71年がたった。この間、政府は10・10空襲の戦没者数など実態を把握していないと答弁してきた。もうここまで来ると、溝どころではなく、歴史認識の欠如と言わざるを得ない。



関連するニュース






  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス