<社説>大川小控訴審判決 学校の事前防災考えよう

 子どもたちの生命、安全を守る学校としてなすべきことは何か。教育現場に重い課題を突き付けた判決だ。全国の各学校は我が事として受け止め、徹底した防災対策に力を入れてほしい。

 東日本大震災の津波で児童74人が犠牲になった宮城県石巻市立大川小の遺族が、市と県を訴えた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は市や学校の震災前の防災体制について過失を認めた。
 組織的な事前防災の責任を認めた初の司法判断である。一審に続き市と県に賠償を命じ、市や学校の責任を厳しく指摘した。
 大震災直後、大川小の児童は教職員の指示で約50分間校庭にとどまった。裏山ではなく、川近くの堤防に避難し始めた矢先に津波にのまれた。
 一審判決は、過失を現場の教職員による避難誘導にとどめていた。高裁判決は、校長をはじめ組織的な事前防災の不備を追及し、踏み込んだ。
 高裁判決の特徴は、教員個々人よりも組織の責任を強調した点だ。加えて、校長らが持つ災害への知識は「地域住民よりはるかに高いレベルでなければならない」と指摘した。多くの命を預かる学校としては当然のことだ。
 学校の危機管理マニュアルの在り方も問われた。マニュアルは2009年施行の学校保健安全法で、全学校に策定が義務付けられたものだ。
 石巻市教委は震災前の10年4月末までに、各学校の実情に応じてマニュアルを改定するよう求めていたが、大川小側は怠っていた。
 判決は、学校側がマニュアルを改定し、避難場所や経路方法を記載していれば、多くの児童が命を落とす悲劇は防げたと断じた。不備を指導しなかった市教委も批判した。
 市が作ったハザードマップで、大川小は津波浸水予想区域ではなく、災害時の避難場所に指定されていた。判決はこの判断を「誤り」と結論づけ、川に近い立地条件を踏まえれば「津波は十分に予見できた」と言及した。
 沖縄県内でも海岸沿いに敷地のある学校は多い。危機管理マニュアルが有名無実化していないか、この機会に改めて点検してほしい。
 避難場所はどこが最適か。経路は確保できるか。障害物はないか。実際に学校周辺を歩いて地形や立地条件を確認し、さまざまな状況を想定して実効性のあるマニュアルを策定することが大事だ。机上の計画では役に立たない。
 学校の安全に対しては文部科学省も対策を講じる。19年度からは大学の教職課程で、事前防災などをテーマにした「学校安全への対応」を必修科目にする。災害時の子どもの安全確保は喫緊の課題だと意識付けたい考えだ。
 学校の防災体制づくりには自治体の協力、支援も不可欠だ。大川小のような悲劇を二度と起こさせないためにも、各学校の本気の取り組みが求められる。