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2023年出生数、最少75万人 想定より12年早いペースで少子化進む


2023年出生数、最少75万人 想定より12年早いペースで少子化進む

 厚生労働省=2023年12月

この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信

 厚生労働省が27日に発表した人口動態統計の速報値(外国人らを含む)によると、2023年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は過去最少の75万8631人だった。初めて80万人を割った22年から5・1%減り、少子化が一段と進んだ。今後発表する日本人だけの出生数は70万人台前半への落ち込みが確実な情勢だ。婚姻数も90年ぶりに50万組を割った。死亡数は過去最多の159万503人となり、出生数を引いた人口の自然減は83万1872人と最大の減少幅になった。

 未婚・晩婚化の傾向は変わらず、少子化は政府想定より12年早いペースで進む。地域や社会経済活動の維持が課題となる。政府は30年までを反転のラストチャンスとして「次元の異なる少子化対策」を掲げ、児童手当拡充などの関連法案を今国会で成立させる方針だが、効果は見通せない。

 出生数の推移

 出生数は第2次ベビーブームのピークだった1973年(約209万人)以降、減少傾向に入り、16年に100万人を割った。2022年の速報値は79万9728人で初めて80万人を下回り、23年はさらに4万1097人減った。減少は8年連続。

 厚労省の国立社会保障・人口問題研究所は将来推計人口で、76万人を割るのは35年と見込んでいたが、実際は12年早まった形だ。

 23年の婚姻数は48万9281組で戦後最少。22年から3万542組減った。離婚数は18万7798組で4695組増加した。

 高齢化が進行する中、死亡数は159万503人と8470人増加。出生数を差し引いた人口の自然減は83万1872人となり、前年から4万9567人拡大した。

 出生数を巡り、厚労省は6月にも、日本人だけを対象とした人口動態統計の「概数」を公表する。22年は77万747人で速報値より約3万人少なかった。23年も同様の傾向であれば、73万人前後になる可能性がある。


 人口動態統計 厚生労働省が、戸籍法などに基づき市区町村に届けがあった出生、死亡、婚姻、離婚といった数をまとめた統計。国の重要な「基幹統計」の一つで政策立案の基礎資料となる。例年2月ごろ、前年1年間分の外国人らを含む「速報値」を公表。6月ごろに日本人のみ対象の「概数」を発表する。概数では、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率も算出する。