たぷたぷ、ぷるんっ 五臓六腑に染み渡る、ゆし豆腐の味わい とうふの比嘉(石垣市)<うちなー味まーい>88


たぷたぷ、ぷるんっ 五臓六腑に染み渡る、ゆし豆腐の味わい とうふの比嘉(石垣市)<うちなー味まーい>88 ふわふわな食感の「ゆし豆腐セット大」650円=22日、石垣市石垣の「とうふの比嘉」
この記事を書いた人 Avatar photo 照屋 大哲

 午前6時20分。眠い目をこすりながら車のハンドルを握る。舗装路から砂利道に入り、大きく育ったバナナの葉を横目に進む。しばらくするとトタン造りの建物が見えてくる。石垣市石垣の「とうふの比嘉」だ。

 駐車後、軒先にある手作りの木製のいすに腰を下ろし看板メニューを注文。しばらくすると、目の前にアチコーコー(あつあつ)のゆし豆腐が登場した。丼にたぷたぷと入った真っ白な豆腐がぷるんと揺れる。

 チャポン。れんげを汁にひたし、ごくりと一口。塩でもだしの素でもない。大豆の風味が生きた素朴な味わいが口いっぱいに広がる。優しい味が五臓六腑(ごぞうろっぷ)に染み渡り、いつしか眠気も吹き飛んでいく。

 2005年に現在の場所に店を構えた。店主の比嘉定二(ていじ)さん(70)と妻の明美(あけみ)さん(61)。夫婦二人三脚で豆腐作りに向き合ってきた。定二さんの祖母が市大川で「比嘉豆腐店」を始め店舗移転などを経て、現在の定二さん夫妻で3代目。70年余り、素朴な味が引き継がれている。

 「機械はなるべく使わない。手作りでやっているよ」と定二さんはこだわりを語る。

 明美さんは「ふわふわ」な食感で、余計な味付けはせずに食べられるよう心掛けている。2人の味わい深い豆腐が人々の胃袋と心を温め続けている。

 営業時間は午前6時半~午後3時(売り切れ次第終了で、ほぼ毎日午前中には完売する)。定休日は日曜日。石垣市石垣570番地。

(照屋大哲)

「四季に感謝、豆に感謝、水に感謝」して豆腐を作る比嘉定二さん(左)と妻の明美さん=22日、石垣市石垣