作家池澤夏樹さん(78)が、イラストレーター黒田征太郎さん(84)と共に手がけた沖縄戦を伝える絵本「ヤギと少年、洞窟の中へ」を朗読するイベントが熊本市の書店で開かれた。1994年から約10年間、沖縄に住んでいた池澤さんは「格段に不平等、過剰な負担を押し付けられている」と訴えた。作品は、旧日本軍に動員され傷病兵の看護などを担い、暗いガマ(自然壕)で亡くなった女学生が霊となり、ガマに迷い込んだ少年と対話する。戦争で犠牲になった女学生211人の名を記し、黒田さんが描いた花を1本ずつ添えている。
24日、池澤さんが声優で作家の娘春菜さんと2人で朗読。読み終えると約30人が集まった会場からすすり泣きの声が漏れた。
今も沖縄の基地負担が軽減しない現状に触れ「政府はここ20年、非常に冷たい。また軍事基地にしようとしている。本土の人は『そんなもんだ』としか思っていない。だから基地(問題)は一向に解決しない」と池澤さん。「国として一部に押し付け、知らんぷりしている」と批判した。
(共同通信)