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【写真特集】ダイバーが見た辺野古「海」のいま 大浦湾、海域に危機迫る 移植サンゴは衰弱 沖縄


【写真特集】ダイバーが見た辺野古「海」のいま 大浦湾、海域に危機迫る 移植サンゴは衰弱 沖縄 折り重なるように成長したフカアナハマサンゴ=10日、大浦湾の水深約7メートル
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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、軟弱地盤がある辺野古沖の大浦湾側の工事が1月に始まった。大浦湾と周辺海域には絶滅危惧種のオキナワハマサンゴを含む約5300種以上の生物が確認されており、専門家から世界有数の多様さを育む海への影響を危惧する声が出ている。


ルポ「辺野古・大浦湾」

 移植サンゴ、藻に覆われ 多様な生態系育む海で

 名護市辺野古沖の大浦湾に1月上~中旬、共同通信の記者が潜った。サンゴの大群集を色鮮やかな熱帯魚が泳ぎ回る豊穣(ほうじょう)の海が広がる一方、移植されたサンゴは衰弱していた。

 まず潜水したのは辺野古の沖合約2キロの地点。一般船舶の航行を禁止する「臨時制限区域」のフロートの外側に、沖縄防衛局の調査船が浮かぶ。これまでにサンゴが移植された海域だ。

(上)米軍普天間飛行場移設工事に伴い、辺野古崎から約2キロの大浦湾内に移植されたサンゴ(2022年6月撮影)。
(下)24年1月10日の同海域。移植されたサンゴの多くが藻類に覆われていた=名護市辺野古沖水深約3メートル

 水深約3メートルまで潜る。移植の印となる海底のくいの近くに、手のひらほどの大きさに砕かれ、岩場に接着された無数のサンゴがあった。

 移植されたサンゴは一部が死滅し、藻類に覆われている。土台ごとはがれた個体もあり、移植の難しさをうかがわせる。「生きているのを探すのが難しいくらいだ」。大浦湾で10年以上リーフチェックに協力するダイバーの岩本俊紀さん(52)が嘆く。

 湾の東側は穏やかな光景が広がっていた。海底から見上げると、透明度は高く、高さ10メートル以上の崖のように切り立つアオサンゴの大群集に息をのむ。岩本さんは「成長に千年以上かかったとも言われている」と説明してくれた。

 サンゴの間にはだいだい色のクマノミやネオンテンジクダイ、貝類やエビなど多様な生物が生息し、浅い岩礁域にはハマサンゴやエダサンゴがひしめき合っていた。

(共同=金子卓渡、佐藤匠)