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被災地は今 2.9万人が今も避難 被災者の悩み相談多く<東日本大震災13年>


被災地は今 2.9万人が今も避難 被災者の悩み相談多く<東日本大震災13年> 更地が広がる福島県大熊町の特定復興再生拠点区域=2022年6月(小型無人機で共同通信社撮影)
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 東日本大震災から3月11日で13年。被災地では災害公営住宅が完成し道路などのインフラが復旧した。一方、東京電力福島第1原発事故が起きた福島県には7市町村で帰還困難区域が残る。全国で計約2万9千人がいまだ避難を余儀なくされており、心身不調や悩みに関する被災者からの相談件数も多いままだ。被災者の心に寄り添った対策が求められている。

 復興庁によると、災害公営住宅は岩手で5833戸、宮城で1万5823戸、福島は津波・地震被災向けに2807戸、原発避難者向けに4767戸が完成した。復興道路・復興支援道路は、計約570キロが2021年12月に全て開通。鉄道はバス高速輸送システム(BRT)への切り替えも含めて20年3月で全て復旧した。

 避難者数は発災当初の推計47万人から約2万9千人となった。24年2月1日時点で福島県は2万6272人、宮城県が1592人、岩手が849人。住宅や道路が整備され避難者数は大幅に減った。しかし福島県では原発事故に伴う帰還困難区域が南相馬市、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村の一部でなお設定されている。

 岩手、宮城、福島の各県に設置された被災者の生活の悩み相談を受け付ける「心のケアセンター」への相談件数は、12年度が計2万3914件。21年度は1万7302件と、依然として多い。

 政府の復興関連事業の支出額は、発災直後の11年度は8兆9513億円に上った。復興工事などが進み、24年度予算案では6331億円。大半は原発事故からの復旧・復興に使われる。

 警察庁によると、24年2月末現在で、死者は1万5900人、行方不明者は2520人。復興庁によると、避難中の持病悪化や自殺など震災関連死は23年12月末現在で3802人に上る。

 今年1月1日には、能登半島地震が発生、東日本大震災と同じ最大震度7を観測した。東日本大震災以来の大津波警報も発表された。13年前に起きた東日本大震災の教訓を生かしながら復興支援が続いている。

(共同通信)