大宜味村喜如嘉の工房「ぶながや窯」に設置された巣箱で、国指定天然記念物のホントウアカヒゲが4匹のひなの子育てに奮闘している。
工房での巣作りは3年連続で、巣箱への営巣は初。8日には親鳥の雄と雌が数分おきに巣箱へ飛来し、ひなにえさを与えていた。ぶながや窯の平良かず子さん(76)は「健康で親鳥のように成長してほしい」と願った。
やんばるの野鳥を長年研究する渡久地豊さんによると、巣箱では5月16日に産卵が確認され、1日までに4羽のひながかえった。8日には、巣箱に親鳥が近づくと「ピーピー」と元気に鳴くひなの声も聞こえた。
ぶながや窯では2022年4月、工房内に置いていた麦わら帽子にホントウアカヒゲが初めて巣を作った。翌年は展示していたカバンの中に巣を作り、昨年5月に巣箱を設置した。
ひなはふ化後、約2週間で巣立ちを迎える。渡久地さんは「民家での繁殖は、例はあるがまれだ。平良さんが優しいまなざしで接しているので鳥も安心して子育てできている」と語った。2年前に帽子への営巣を最初に発見した安里裕子さん(50)は「工房は静かで心地がいい場所だ。鳥もいい場所だと分かるのだろう」とほほ笑んだ。
(武井悠)